CASE STUDY

脱炭素だけでは終わらない。生物多様性時代に変わる樹脂成形の環境対応

SDGsが広まってきてESG経営などで、脱炭素を軸にして自然素材を混ぜた樹脂などの環境配慮型の樹脂成形品やサービスを展開される企業が、ここ数年で急速に増えてきました。

再生樹脂、バイオマス樹脂、植物由来原料を配合した樹脂、天然素材を配合した樹脂などがこれにあたります。

その製造方法はさまざまですが、これまで樹脂成形のサスティナブルや環境対応を支えてきた大きなテーマは、主に「脱炭素」と「資源循環」だったといえます。

・樹脂に使用する化石由来樹脂をどれだけ減らせるか。
・製造工程にかかるCO₂排出量をどれだけ抑えられるか。
・廃棄してしまう再生材をどれだけ使用できるか。
・使用後の製品を回収し、再び資源として利用できるか。

こうした評価軸をもとに、素材メーカー、成形メーカー、製品メーカー、そして製品を採用する企業まで、環境配慮型樹脂のサプライチェーンが組まれてきました。

この脱炭素も資源循環については、これからも継続していく重要な環境課題であり、ESG経営の必須項目といえます。

しかし、企業を取り巻く環境経営のテーマは、もう一段広がり始めています。

脱炭素に、「生物多様性」が加わる。

そのひとつが、生物多様性や自然資本です。

TNFDをはじめ、企業活動と自然との関係を把握し、自然への依存や影響、リスクや機会を経営の中で捉えようという動きが広がっています。

重要なのは、これが単に「新しい環境テーマが一つ増えた」という話ではないことです。

樹脂成形品で考えると、これまでとは少し違った問いが生まれます。

たとえば、化石由来樹脂の使用量を減らすために、木や植物などの自然由来素材を使用するとします。

脱炭素の観点だけで考えれば、

「樹脂を何%削減できたのか」

「CO₂をどのくらい削減できたのか」

という評価でよかったかもしれません。

しかし、生物多様性や自然資本という視点が加わると、その先が問われます。

その代わりに減らすために使った自然素材は、どこから来たのか?という問いです。

「何を減らしたか」から、「何に置き換えたか」へ

自然由来素材だから、必ず環境に良いか?というと、残念ながら、それほど単純ではありません。

木材であれば、どの森林から来たのか?違法伐採やその後の管理などはどうなっているか?が問われます。

ほかの植物由来原料であれば、どのような土地で生産されたのか?本来は食料などで生産されていたものを使用していたり、人権的な問題はないか?なども問われます。

そのサスティナブルを成立させるための原料を生産するために、森林や生態系へ大きな負荷を与えていないか?さらに、その原料が加工・流通されて製品になるまで、適切に管理されているのか?

脱炭素を目的として自然素材への置き換えを進めるほど、今度は「その自然素材をどのように調達したのか」という新しい説明責任が生まれます。

これは、SSBJ/ISSBといった開示する枠組みによって、サステナビリティ情報の財務・経営への接続が強まり、TNFDによって、その対象が自然・生物多様性やバリューチェーンへ広がっていきます。

つまり、

「何を減らしたか」だけではなく、
「何に置き換え、その原料をどう調達したか」まで考える。

樹脂成形品の環境対応も、そうした段階へ進み始めているのではないでしょうか。

樹脂成形品の評価範囲が、製品からサプライチェーンへ

これまで環境配慮型樹脂では、

  • 化石由来樹脂の削減
  • CO₂排出量
  • 再生材配合率
  • バイオマス比率
  • 回収・再資源化

など、比較的「製品そのもの」に近い指標が重視されてきました。

これからはそこに、

  • 原料の出所
  • 自然や生態系への配慮
  • 調達先の管理
  • 加工・流通工程の管理
  • 第三者へ説明できる根拠

といった視点が加わっていく可能性があります。

TNFDでも、自然関連の依存・影響・リスク・機会について、企業自身だけでなくバリューチェーンまで視野に入れた評価が示されています。

つまり、環境配慮型素材の評価対象も、「製品」から「その製品ができるまで」へ広がっていくことになります。

すでに環境対応している企業ほど、次の問いが生まれる

これは、これまでの脱炭素文脈での環境対応を否定する話ではありません。

再生樹脂には、資源循環という大きな価値があります。

バイオマスや自然素材配合樹脂には、化石資源への依存を減らしたり樹脂使用量を減らすという価値があります。

むしろ、こうした取り組みをすでに進めている企業だからこそ、次の問いが生まれます。

「生物多様性の時代に、何をするのか?」

そして、生物多様性や自然資本、サステナブル調達というテーマが企業経営へ入ってくることで、

「現在採用している環境配慮型樹脂を、もう一段アップデートできないか」

という考え方も出てくるでしょうし、なにより、脱炭素の時と同じように、推奨や努力目標からじわじわと、規制や基準があがっていったときのように、いつかはやらないといけないものへと変わっていくことも十分想定できます。

生物多様性時代の樹脂成形へ

これまで樹脂成形の環境対応は、脱炭素や資源循環を中心に進んできました。

しかし、企業の環境経営が生物多様性や自然資本まで広がれば、樹脂成形品に求められる環境価値も変化していきます。

樹脂をどれだけ減らしたか。

CO₂をどれだけ削減したか。

そこからさらに、

代替した原料はどこから来たのか。
自然へどのように配慮されているのか。
その調達を何によって説明できるのか。

まで。

環境配慮型樹脂の選び方は、いま新しい段階へ入り始めています。

脱炭素に対応する樹脂から、
生物多様性と調達まで考える樹脂成形へ。

これから企業が樹脂成形品を選ぶとき、その違いが一つの新しい判断材料になっていくのかもしれません。

具体的に、生物多様性の時代に合わせて樹脂成形をはじめたいなどありましたらお問い合わせください。PoC段階からお手伝いいたします。

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